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生命線がこれ以上短くなりませんように

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手相は変わると聞く

左手は生まれ持ってからの宿命で、右手は運勢を表していると。

子どものころから生命線がとても長く、

手首まできていた。

周りでは親が亡くなる友人たちがいながらも、

両親ともに健在で私は一体何歳まで生きるのだろうと、

長生き過ぎることへの恐怖も感じたくらい。

長生きだと思っていた両親も84歳の誕生日を前に亡くなった。

できることなら親の生きた年齢よりも少しだけ長生きできれば

いいと思っている。

母は具合が少しでも悪いと感じると直ぐに病院に行く人だった。

その甲斐もあってか、83歳になるまで大病を患うことはなかった。

父は見るからに丈夫な人で、

交通事故に遭ったときも入院せずに通院だけで済ませた。

本当は入院が必要だったのに、入院することが嫌でわがままを通してしまった。

父は病院が苦手なひとだったのだ。

まだ私が子どもの頃、

父は虫歯を糸で抜き取っていた。

会話していても目立たない場所なので、

抜けたままでも気付かれないが、

その場所にはその後も歯はないままだった。

その父も母が亡くなる前の年に癌が発覚。

手術で治療できたけれど、

母が亡くなった年には新たな癌が発覚し、

母が亡くなって1年後に追うように逝ってしまった。

両親が亡くなって、自分も年齢を経て来て、

あちこちとガタがきている。

そういえばと思い自分の手相を見ると、

あれほど長かった生命線が手首から遠のいていた。

それでも、短いわけではないのだけど、

手首まで伸びていた生命線の長さに恐怖を感じていたはずが、

今では短くなっていることに恐怖を感じてしまう。

人間とは勝手なもので、

長ければ長いで恐怖を感じるのに、短くなったからと言って

決して喜べることもないのだ。

両親の生きた年齢より少しは長く生きていたいと思っているので

生命線よ、これより短くならないでほしい。

聞くところによると、自分で線を書き足してもいいらしい。

それで気分が落ち着くのであれば、それも良しとなるそうだ。

そこまではしていないけど。


投稿者:sora

平日は派遣でフルタイム働き、還暦を迎えても若い頃と変わらずに、興味のあること知りたいことには貪欲に「楽しく生きる」を追求しています。

                       

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