職場の同僚というのはあくまでも職場だけの付き合いと割り切っていた。
職場を辞めても付き合っていけるかいけないか、
それは同僚として働いている時には考えたことはない。
その職場を辞めるとなったとき、
この同僚とは今後も付き合っていきたいと思える人がいれば、
それは最高に良い職場だったのだと思う。
過去に、同じ職場で働き、
その職場を辞めたあとも友達として付き合いが続いている人もいる。
ただし、同僚もその職場を辞めているから続いているのかもしれない。
なぜなら、その職場を辞めていない元同僚との付き合いをしたことがないから。
あの頃、とても忙しい毎日の中で、
仕事終わりに毎日のようにふたりで飲みに行き、
仕事の愚痴や、気に入っている音楽や趣味の話など、
たわいのないことを話ししていた元同僚。
私が今通勤で利用している駅は、
よく飲みに行っていたその元同僚の利用している駅。
ホーム反対側に電車が止まると
彼女が降りてこないかな?
それとももうあの職場を辞めているかな?
などと思い出しては過去にふたりで飲みに行っていたことを懐かしんでいた。
偶然は必然が呼び起こしたもの。
仕事が終わりいつものように駅のホームに着いたそのとき、
『soraさ~ん』と声が聞こえた。
ん?誰かに呼ばれた気がする。
でも、今の職場の同僚はこのホームは利用していない、
でも確かに私の名前を呼んだ。
振り向くとそこには、元同僚の彼女の姿が。
『歩いているのを見かけて絶対そうだと思って。
最初呼んだときは声が小さかったから聞こえないかもと思って
もう一度呼んだの』と。
私はもの凄くうれしくなり、
思わず彼女の腕をつかんでしまい
『ちょっとだけ行かなない?』とビールを飲む仕草をした。
彼女も『うん、行こう。ここの駅なら知っているお店がある』と。
ホームに入っていたものの、すぐさま改札から外に出た。
そして、ふたりの会話は止まるところ知らずで、
私が辞めてからあとの職場の出来事など、
知りたかったことを聞いた。
元同僚の彼女は今でも同じ職場に居て、
定年の65歳まではいるつもりなのだと。
他の元同僚のことなど色々聞いて、
今の私の職場の話をして、
昔のように楽しい時間を過ごした。
帰り道、仕事帰りにふたりで飲みに行っていたことが話題になり、
『なんか6年も経っているのに、直ぐにあの頃に戻れるもんだね。』
と、彼女の言葉、『今同じことを思っていた』と私。
6年間という空白はあるけれど、
あの頃は、とても濃い時間を共に過ごしていたのだ。
毎日忙しくて大変なこともたくさんあったのに、
本当に毎日充実していて楽しかったのだと、
お互いに感慨深くなっていた。
私は私で、毎日ホームの反対側から彼女が降りてこないかと見ていたこと、
彼女は彼女で、仕事帰りにふたりで飲みに行ったことをよく思い出していたこと。
このことがもしかしたら、偶然という時間を神様が私たちに与えてくれたのかもしれない。
お互いに連絡先だって知っていたはずなのに、
なぜ連絡してこなかったのか。
片方が辞めていて、片方が残っていることで、
こちらは「なんとなく辞めた人間が連絡しても、、、」と思っていたし、
残っている元同僚は「自分は残っているのに辞めた元同僚に連絡するのは悪いかな、、、」
と思っていたと。
今更ラインの交換なんてしたりして、
そして必ずまた飲みに行こうと約束して別れた。
神様が与えてくれた偶然。
気になっていた元同僚との再会。
お互いにお互いのことを気になっているからこそ、
きっと神様が偶然という時間のもとに再開をさせてくれたのだろう。
投稿者:sora
平日は派遣でフルタイム働き、還暦を迎えても若い頃と変わらずに、興味のあること知りたいことには貪欲に「楽しく生きる」を追求しています。