毎年2月6日が来ると必ず思うことがある。
決して忘れられない、忘れてはいけない日でもある。
ある日、電話が鳴った。
大切にしていた友人の死の知らせ。
最近『人は二度死ぬ』という言葉をよく耳にする。
一度目は命の終わり、二度目は生きていた存在を忘れられた日。
ということだそうだ。
24年前に亡くなった大好きな友人を今でも忘れていない。
決して忘れない。
彼女の死は一度だけ。
存在自体を忘れることはない。
何か悩んだりすると必ず彼女に電話して相談していた。
彼女は私よりも7歳年上だけど、
私の子どものほうが年上なので、
彼女からは『お母さん歴はあなたのほうが先輩よ』と言われていた。
誰に対しても分け隔てなく接するひとで、
私のほうが7歳も年下であるのに、
決して偉ぶらず、子どものことが話題になれば、
”母親歴先輩”の私の言うこともしっかりと聞いてくれていた。
そんなある日、彼女から電話が入った。
『癌が見つかった。余命半年と言われた。
私死んじゃうのよ。死にたくないよ。
子どもは再来年中学生になるのに、
学生服姿を見ることができなくなるのよ。』
そう言って、泣いた。
私も電話口で泣いた。
信じられなかった。
いつも元気で明るくて楽しいひとだったのに、
あと半年の命だなんて。
生きていてほしかった。
彼女が入院した病院が、
その頃の勤務先の近くだったため、
毎週金曜日には病院に寄って彼女の顔をみて
他愛もない話をした。
彼女も毎週金曜日が楽しみだと言ってくれていた。
本当は毎日寄りたいところだけど、
病気のこともあり、疲れさせてはいけないので、
一週間に一度と決めていた。
ある金曜日、いつも通りに病室に行くと
そこには彼女はいなくて病室が変わっていた。
ふと頭をよぎった。
もう二度と彼女に会うことはできないのだと。
電車に乗ることもできず泣きながら歩いて帰った。
あれから24年の歳月が流れたのだ。
彼女が亡くなった年齢をとうに超えてしまって、
還暦も過ぎてしまった。
投稿者:sora
平日は派遣でフルタイム働き、還暦を迎えても若い頃と変わらずに、興味のあること知りたいことには貪欲に「楽しく生きる」を追求しています。